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カテゴリー:産業廃棄物

感染性廃棄物の正しい処理方法【法令遵守と現場実務の完全ガイド】

感染性廃棄物の正しい処理方法

「感染性廃棄物」の処理は、単なるゴミ捨てではありません。法令遵守は当然として、現場の安全と感染防止を守ることが責務です。

「この処理方法で本当に法律をクリアしているのか?」「コストを抑えつつ、現場のスタッフに正しく教育するには?」本記事は、そうした切実な疑問にお答えします。

【この記事で分かること】

  • 感染性廃棄物を適正に処理するための基本工程(分別・梱包、業者選定、マニフェスト管理)の全体像
  • 排出者が守るべき法的責任と処理フローの具体的な手順
  • 許可業者の選び方やコスト管理、現場での安全対策のポイント

 

目次

感染性廃棄物処理の全体像と3つの必須手順

感染性廃棄物処理の全体像と3つの必

法令を遵守した適切な処理方法を実行するためには、次の3つの必須手順を確実に踏む必要があります。

正確な分別・梱包(バイオハザードマークの使用)
法令基準を満たした保管
許可業者への適正な委託

特に、現場での分別が、その後の安全性を左右します。これらの手順は、感染リスク低減と罰則回避のための基盤です。

【最重要】排出者が負うべき感染性廃棄物処理の責任範囲と流れ

廃棄物処理法第3条に基づき、病院、クリニック、介護施設などの排出者は、自らの事業活動に伴って生じた感染性廃棄物を、最終処分が終了するまで責任をもって適正に処理する義務を負います。単に処理業者に委託したからといって、その責任が消えるわけではありません。

発生源から最終処分までで特に重要なのは、以下の4段階です。

段階排出者の主な責務(責任範囲)法令上の重要項目
1.
発生・分別
法令に従った正確な分類と梱包。
感染性廃棄物と非感染性廃棄物の明確な区別。
バイオハザードマークの適用、専用容器の使用。
2.
保管
適切な保管場所の確保と表示。保管期間・量の管理。特別管理産業廃棄物保管基準の遵守、表示(感染性廃棄物である旨、取扱いの注意事項)。
3.
委託・運搬
許可業者(特別管理産業廃棄物収集運搬業許可を持つ者)への委託。委託契約書の締結。運搬時の事故防止対策、マニフェスト(管理票)の交付。
4.
処分・確認
委託した業者が最終処分まで適正に行うことの確認。マニフェストの回収・保管。処分業者の許可確認、マニフェストのA票~E票の照合と5年間の保管。

この流れの中で、排出者が最も直接的に関わるのが「分別・梱包」と「委託」です。

  1. 分別・梱包段階の責任
    排出事業者は環境省令に基づき、廃棄物が感染性かどうかを正確に判断し、感染性廃棄物と認められる場合は、定められた処理方法に従う必要があります。損傷しにくい専用容器に密封し、バイオハザードマークを表示しなければなりません。
  2. 委託段階の責任
    感染性廃棄物の処理を外部に委託する場合、排出者は特別管理産業廃棄物収集運搬業及び処分業の両方の許可を持つ業者と書面で契約を結び、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付しなければなりません。

    無許可業者への委託は、排出者自身が罰則の対象となる「不法投棄の幇助」と見なされる違反行為です。

    排出者は、委託先の処理状況を把握し、感染性廃棄物の処理が正しく実施されているかを最終的に確認する責任も負っています。

感染性廃棄物」の処理は、単なるゴミ捨てではありません。法令遵守は当然として、現場の安全感染防止を守ることが責務です。

基本ルール:バイオハザードマークと専用容器の正しい使い方

感染性廃棄物の処理現場では、感染リスクを管理し、法的な識別を明確にするために、バイオハザードマークと専用容器を正しく使用することが基本となります。

これらは、廃棄物が「感染性」であることを作業者に瞬時に伝えることができます。

1. バイオハザードマークの役割と色分け

バイオハザードマークは、廃棄物の性状(形状)に応じて3色に色分けされており、環境省のガイドラインに基づき、排出者は以下の通りにマークを適用しなければなりません。(詳細は後述)

この色分けは、収集運搬業者や中間処理業者が廃棄物の危険性と適切な処理方法(例:鋭利物は焼却前に破砕しないなど)を判断するための重要な情報源となります。

2. 専用容器の選定と梱包の原則

処理方法の最初のステップである梱包では、「損傷しにくいこと」「密封できること」が容器選定の絶対条件です。

  • 耐貫通性(鋭利物対策): 注射針やメスなどの鋭利物は、橙色の専用容器(シャープレットなど)に投入しなければなりません。この容器は、針が突き破らない硬質プラスチック製で、一度入れたら開けられない構造が求められます。
  • 液漏れ防止(液状物対策): 赤色の容器は、血液や体液が外部に漏れないよう、完全に密閉できる構造が必要です。
  • 破損防止(固形状対策): 黄色のプラスチック製袋を使用する場合、二重袋にするなど、破れにくい措置を講じることが推奨されます。廃棄物の詰めすぎは破袋の原因となるため、容器容量の7〜8割を目安に封をすることが正しい処理方法です。

また、専用容器にはバイオハザードマークの表示に加え、「廃棄物である旨」「排出場所(病棟・部門名など)」を明記し、誰がいつ封をしたかを把握できるようにすることが、現場管理上非常に重要です。

【実務徹底解説】排出から最終処分までの具体的な処理フロー

【実務徹底解説】排出から最終処分までの具体的な処理フロー

感染性廃棄物処理の実務は、単なる廃棄ではなく、安全と法令の維持に直結する緻密なプロセスです。そのため、最終処分までの一連の流れをマニフェストで一貫して管理することが不可欠です。

特に、最初の分別段階でのミスを防ぐことが、その後の感染性廃棄物処理のコストとリスクを大きく左右します。

分別・梱包の具体例:鋭利物(注射針・メス)・液状物・固形状の3分類と容器

生現場での「分別」と「梱包」の誤りは、針刺し事故や液漏れといった重大な感染リスクに直結するため、排出者は廃棄物の性状に応じた厳格な基準を遵守しなければなりません。

感染性廃棄物は、その形状から大きく「鋭利物」「液状物」「固形状物」の3つに分類され、それぞれに特化した処理方法が求められます。

1. 鋭利物(橙色マーク)

  • 対象例: 注射針、メス、採血用ガラス管、破損した試験管、ガラス器具の破片など、皮膚を貫通する危険性のあるもの。
  • 求められる容器:
    • 耐貫通性: 容器が針や刃物で容易に破られない硬質な材質(例:厚手のプラスチック製)であること。
    • 密閉性: 確実に蓋ができ、内容物が漏れ出さない構造であること。
    • 開封防止: 一度投入したら容易に取り出せない、または開けられない構造が望ましい(特に針容器)。
  • 現場実務の注意点: 満杯になる前に封をすること。特に注射針は、使用後すぐにキャップをせず、専用容器へ投入するルールを徹底。作業員の針刺しリスクを最小限に抑えることが、安全な感染性廃棄物処理を行うための最重要ポイントとなります。

2. 液状物・泥状物(赤色マーク)

  • 対象例: 血液、血清、血漿、体液、透析液、多量の血液が付着したガーゼや脱脂綿(絞ると液が滴り落ちる程度)。
  • 求められる容器:
    • 完全密閉: 液体が外部に漏出しないよう、蓋がスクリュー式などで確実に閉まるポリ容器や吸引容器を使用すること。
    • 耐久性: 運搬中の振動や温度変化で破損しにくい容器であること。
  • 現場実務の注意点: 容器に入れる際には、こぼさないよう細心の注意を払い、容器の外側が汚染されていないか確認することが大切です。汚染が確認された場合は、容器の外側を消毒するか、さらに別の容器で二重に梱包する必要があります。

3. 固形状物(黄色マーク)

  • 対象例: 血液等が付着したディスポーザブル製品(手袋、エプロン、マスク、点滴セット)、使用済みのカテーテル、試験管(少量付着)、汚染されたシーツの一部など。
  • 求められる容器:
    • ポリエチレン製袋: 厚手で破れにくいプラスチック製(ポリエチレン等)の袋を使用し、口をしっかり縛って密封すること。
    • 二重梱包の推奨: 破損や内容物の飛び出しを防ぐため、二重に梱包することが、より確実で安全な感染性廃棄物の処理方法として推奨されます。
  • 現場実務の注意点: 非感染性廃棄物(一般廃棄物や通常の産業廃棄物)が混入すると、全体の処理コストが増大するだけでなく、法的なリスクも発生します。徹底した分別教育と、容器の詰めすぎ禁止が重要です。容器を密封する際は、中の空気を抜きつつ、しっかりと口を縛ることがポイントです。

保管場所の基準:表示義務・施錠・その他の衛生管理要件

感染性廃棄物処理における「保管」は、収集運搬までの安全を確保するための重要な法令要件です。特別管理産業廃棄物である感染性廃棄物は、環境省令で定められた厳格な基準に則り保管しなければなりません。

最も重要なのは、以下の3つの必須要件です。

  1. 表示義務の徹底: 保管場所には、廃棄物処理法施行規則に基づき、「感染性廃棄物である旨」「取扱上の注意事項(例:関係者以外立入禁止、施錠中など)」、および「保管場所の管理者名」を記載した見やすい掲示板を設置しなければなりません。これにより、非関係者の誤認や接触を防ぎます。
  2. 施錠等による隔離: 保管場所は、関係者以外が容易に立ち入ることができないよう、施錠を行うか、周囲を柵などで囲い隔離することが義務付けられています。特に患者や一般の利用者が行き来する場所から離れた場所を選定することが、適切な処理の実務です。
  3. 衛生管理要件:
    • 保管期間: 原則として、廃棄物の腐敗や変質を避けるため、排出から数日間(多くは7日以内)で処理委託を行うことが望ましいとされています。
    • ネズミ・蚊の防除: 害獣や害虫の発生を防ぐため、常に清潔に保ち、定期的な防除措置を講じる必要があります。
    • 漏水・飛散の防止: 地下水汚染を防ぐため、床は不浸透性の材質とし、雨水や汚水が浸入しない構造にすることが求められます。

収集運搬の要件:特別管理産業廃棄物収集運搬業許可と運搬車両の基準

排出者の敷地外への運び出しは、許可を持つ専門業者のみに許された領域です。感染性廃棄物は「特別管理産業廃棄物」に分類されるため、前述のように収集運搬を行う業者は通常の産業廃棄物とは異なる「特別管理産業廃棄物収集運搬業許可」を、都道府県または政令指定都市ごとに取得していなければなりません。

運搬車両についても、厳しい基準が設けられています。

  1. 飛散・流出防止: 運搬車両は、感染性廃棄物が飛散したり、血液などの液状物が外部に流出したりしないよう、密閉できる構造が必須です。
  2. 表示義務: 車両の側面に「特別管理産業廃棄物」を運搬している旨、および「取り扱う者の氏名または名称」を明確に表示しなければなりません。
  3. 専門教育: 運搬に携わる作業員は、感染防止のための適切な知識と応急措置に関する専門的な教育を受けている必要があります。

適正な処理方法を全うするため、排出者は許可証と運搬基準をチェックしなければなりません。

中間処理の技術:焼却・溶融・オートクレーブ(滅菌)処理の種類と目的

収集運搬された感染性廃棄物処理の最終的な安全性を確立するのが「中間処理」です。中間処理の目的は、感染性の無害化減容化であり、主な技術として「焼却」「溶融」「オートクレーブ(滅菌)」の3種類があります。

処理技術目的特徴適した廃棄物
焼却処理無害化、減容化高温で完全に燃焼させることで感染性を除去し、大幅に容量を削減。大部分の固形状、液状の感染性廃棄物
オートクレーブ無害化(滅菌)高温高圧の蒸気で処理。廃棄物を非感染性にするが、容積はあまり変わらない。プラスチック類、一部のガラス類
溶融処理無害化、減容化超高温で溶かし、無害なスラグ(ガラス状物質)にする。鋭利物など。焼却より高度な減容効果。

これらの処理方法のうち、日本では焼却処理が最も一般的です。オートクレーブ処理で滅菌された廃棄物は、感染性ではない「一般の産業廃棄物」として取り扱うことが可能となり、最終処分費用を抑えられる可能性があります。

排出者が確認すべきは、委託した業者が適切な処理技術と許可を持っており、かつ環境基準を遵守して処理を実行しているかという点です。

 

「感染性廃棄物」の法令上の定義と分類

「感染性廃棄物」の法令上の定義と分類

適正な処理方法を確立するためには、まず「何が感染性廃棄物なのか」という法令上の定義を正確に理解することが不可欠です。

感染性廃棄物は「人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがある廃棄物」として、廃棄物処理法で特別管理産業廃棄物または特別管理一般廃棄物に分類されます。

特に医療機関では、「形状」「排出場所」「感染症の種類」の3要素から判断基準が設けられています。

感染性廃棄物の定義と:医療機関等における判断基準

感染性廃棄物は、感染性病原体が含まれるか、付着している廃棄物、または感染性病原体に汚染されているおそれのある廃棄物として、環境省のガイドラインに基づき判断されます。

医療機関等における判断は、以下の3つの基準に基づき行われます。

  1. 形状(排出された後の廃棄物の形状):
    • 血液、血清、体液、排泄物など、液状または泥状のもの
    • 鋭利なもの(注射針、メスなど)
  2. 排出場所(感染症患者の治療・検査等で使用されたか):
    • 特定の感染症治療に使用された器具・資材
    • 感染症病棟や検査室など、特定の場所から排出されたもの
  3. 感染症の種類(廃棄物が排出された特定感染症):
    • 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律で定められた一類〜四類感染症の患者から排出されたもの

これら3つの要素のいずれかに該当する場合、その廃棄物は感染性廃棄物として、専用の処理方法に従って分別・梱包する義務があります。

「感染性産業廃棄物」と「感染性一般廃棄物」の違い

すべての感染性廃棄物について、処理方法は共通の安全基準に従いますが、法的な取り扱いと委託先は、その廃棄物が「産業廃棄物」か「一般廃棄物」かによって明確に分かれます。

区分定義排出者・発生源の例処理・管理方法
感染性産業廃棄物産業廃棄物に含まれる感染性廃棄物(廃プラスチック類、ガラスくずなど)。病院、クリニック、動物病院、研究機関(企業活動に伴うもの)。特別管理産業廃棄物として、マニフェスト管理が必須。
感染性一般廃棄物一般廃棄物に含まれる感染性廃棄物(紙くず、汚物など)。医療機関等から排出される非事業系の紙くずや生ごみ。または介護施設からの汚物。特別管理一般廃棄物として、市町村の許可を持つ業者に委託。

感染性廃棄物を委託する場合、排出者は特別管理産業廃棄物収集運搬・処分業の許可を持つ業者を選定しなければなりません。一方、感染性一般廃棄物は、市町村の許可を得た業者に委託します。

多くの医療機関で発生する感染性廃棄物は、注射針やカテーテルといった廃プラスチック類が多いため、大半が感染性産業廃棄物として処理されます。

【研究機関、動物病院】非医療系施設での取り扱い注意点

大学や企業の研究機関、および動物病院などの非医療系施設から排出される廃棄物も、人の健康に被害を及ぼすおそれがある場合、感染性廃棄物として医療機関と同等の厳格な感染性廃棄物としての処理方法が求められます。

特に注意すべきポイントは「判断基準の適用」です。

  1. 動物病院の廃棄物:
    動物の治療や検査で使用された注射針や血液等が付着した資材は、医療機関における判断基準(特に鋭利物や血液の付着)を適用し、感染性産業廃棄物として処理しなければなりません。動物由来であっても、人間に共通感染するおそれがあるため、適切な処理方法が必要です。
  2. 研究機関の廃棄物:
    ヒトの病原体を取り扱う研究施設から排出される廃棄物は、培養液、実験器具、動物の死体・臓器などが感染性廃棄物に該当します。重要なのは、「研究で感染性物質を取り扱ったか」に基づき、排出者が判断を行うことです。

    感染性が除去されていない廃棄物を一般廃棄物や通常の産業廃棄物として排出することは、法令違反となります。

これらの非医療系施設でも、バイオハザードマークの適用、特別管理産業廃棄物収集運搬・処分業の許可を持つ業者への委託、そしてマニフェスト管理の徹底という、基本的な感染性廃棄物としての処理方法を遵守する責任が、排出者である施設側にあります。

 

委託先の選定とコスト管理:安全・確実に処理するためのポイント

委託先の選定とコスト管理:安全・確実に処理するためのポイント

排出者の責任を最終的に全うするためには、信頼できる処理業者を選定し、適正なコストで委託することが不可欠です。

業者選定の際は「特別管理産業廃棄物収集運搬・処分業の許可証の確認」と「処理フローの透明性」を最優先とし、コスト管理は「マニフェスト(管理票)の正確な運用」を通じて適正化を図るべきです。

信頼できる処理業者選定のためのチェックリスト

外部委託先を選定する際、排出者責任を果たすために、次のチェックリストを用いて業者の信頼性と適法性を確認する必要があります。

安価であることだけで選ぶと、将来的な法令違反リスクや不法投棄による社会的な信用の失墜を招きかねません。

確認項目チェックポイント法的根拠/重要
許可証の確認特別管理産業廃棄物収集運搬および処分の許可を両方取得しているか。最重要。無許可業者への委託は法令違反。
許可エリア自治体(排出場所)の許可エリアをカバーしているか。許可は都道府県・政令市ごと。
契約書面委託契約書に必要な事項が漏れなく記載されているか。法令で定められた契約事項の遵守義務。
マニフェスト対応**マニフェスト(産業廃棄物管理票)**の正確な交付・回収・保管体制が整っているか(電子マニフェスト対応の有無)。最終処分までの追跡・確認の義務。
施設の確認処理施設の現地視察が可能か。適切な処理方法(焼却・滅菌など)が行われているか。処理の透明性確保。
事故・保険体制万が一の感染事故や運搬事故に備えた保険加入状況や緊急時の対応フロー。業務の継続性とリスク管理。

これらのチェックリストに基づき、複数の業者を比較検討し、適法性と安全管理体制が優れている業者を選定しましょう。

マニフェスト(産業廃棄物管理票)の正確な運用と保管義務

特別管理産業廃棄物である感染性廃棄物を処理業者に委託する際、排出者は必ずマニフェストを交付し、その後の処理の流れを管理しなければなりません。

感染性廃棄物の処理におけるマニフェスト(産業廃棄物管理票)の運用は、排出者責任を果たすための法令上の義務であり、廃棄物の最終処分までを追跡・確認する唯一の証明書です。

マニフェストの重要フロー排出者の義務
交付運搬業者に廃棄物を引き渡す際、正確な記載内容でマニフェスト(紙または電子)を交付する。
確認・照合運搬、中間処理、最終処分が終了した後、各業者が返送する控え(E票など)を受領し、内容を交付時のA票と照合する。
保管マニフェスト(紙・電子を問わず)の写しを、交付日から5年間、事業所内に保管する義務がある。

マニフェストの運用を怠ったり、虚偽の記載があったりした場合は、廃棄物処理法に基づく罰則の対象となります。特に、最終処分が確認できない場合は、排出者が不法投棄の責任を問われるリスクがあります。

処理費用の相場観とコストを適正化するためのヒント

感染性廃棄物処理のコストは、地域差や処理量、処理方法(焼却か滅菌か)により大きく変動しますが、一般的に1kgあたり数百円〜1,000円以上が相場観となります。この費用は、主に収集運搬費中間処理費で構成されています。

コスト適正化のためのヒント

適正な感染性廃棄物の処理方法を維持しつつコストを削減するには、以下の3点に注力する必要があります。

  1. 徹底した分別による非感染性廃棄物との分離:
    コスト高の最大の要因は、非感染性の一般廃棄物が誤って混入してしまうことです。例えば、血液等の付着がないビニールや紙類を感染性廃棄物として出すと、単価の高い処理方法が適用されてしまい、無駄なコストが発生します。現場での分別教育を強化し、感染性廃棄物の量を最小限に抑えることが最重要です。
  2. 収集頻度の見直しと契約形態の最適化:
    廃棄物の発生量と保管能力に基づき、収集頻度を最適なものに見直すことで、無駄な収集運搬費を削減できます。また、複数の業者から見積もりを取り、競争原理を働かせることで、適正な料金での処理委託が可能になります。
  3. 減容効果の高い処理方法の検討:
    オートクレーブ(滅菌)処理後、一般廃棄物・産業廃棄物として最終処分できるルートを持つ業者を選定できれば、処理後の処分費用を抑えられる場合があります。

基本ルール:バイオハザードマークと専用容器の正しい使い方

感染性廃棄物処理の現場実務において、感染リスクの管理と、法的な識別を明確にするための基本が、バイオハザードマークと専用容器の正しい使用です。

これらは、廃棄物が「感染性」であることを作業者に瞬時に伝えることができます。

1. バイオハザードマークの役割と色分け

バイオハザードマークは、廃棄物の性状(形状)に応じて3色に色分けされており、環境省のガイドラインに基づき、排出者は以下の通りにマークを適用しなければなりません。(詳細は後述)

この色分けは、収集運搬業者や中間処理業者が廃棄物の危険性と処理方法(例:鋭利物は焼却前に破砕しないなど)を判断するための重要な情報源となります。

2. 専用容器の選定と梱包の原則

処理方法の最初のステップである梱包では、「損傷しにくいこと」「密封できること」が容器選定の絶対条件です。

  • 耐貫通性(鋭利物対策): 注射針やメスなどの鋭利物は、橙色の専用容器(シャープレットなど)に投入しなければなりません。この容器は、針が突き破らない硬質プラスチック製で、一度入れたら開けられない構造が求められます。
  • 液漏れ防止(液状物対策): 赤色の容器は、血液や体液が外部に漏れないよう、完全に密閉できる構造が必要です。
  • 破損防止(固形状対策): 黄色のプラスチック製袋を使用する場合、二重袋にするなど、破れにくい措置を講じることが推奨されます。廃棄物の詰めすぎは破袋の原因となるため、容器容量の7〜8割を目安に封をすることが正しい処理方法です。

また、専用容器にはバイオハザードマークの表示に加え、「廃棄物である旨」「排出場所(病棟・部門名など)」を明記し、誰がいつ封をしたかを把握できるようにすることが、現場管理上非常に重要です。

 

まとめ

感染性廃棄物の正しい処理方法【法令遵守と現場実務の完全ガイド】のまとめ

本記事では、感染性廃棄物の法令上の定義から、現場で必須となる分別・梱包、保管の具体的な基準、そして信頼できる委託先の選定方法とコスト管理のヒントまで、排出者責任を果たすための完全な処理方法を解説しました。

最も重要なのは、「何が感染性廃棄物か」を正確に判断し、バイオハザードマークに基づいた厳格な分別を現場で徹底することです。

そして、特別管理産業廃棄物の許可を持つ優良業者を選定し、マニフェスト管理を徹底することで、法令違反のリスクと感染事故を防ぐことができます。

この記事で得た知識をもとに、感染性廃棄物の処理方法を今一度点検し、より確実で安全な運用体制を構築してください。

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