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カテゴリー:産業廃棄物

建設混合廃棄物とは?種類・処理方法・法律までプロがわかりやすく解説

建設混合廃棄物とは?

建設現場で発生する事業ごみをまとめたものを、「建設混合廃棄物」といいます。

建設混合廃棄物は適切に分類・処理しなければ法令違反や高額な処理費用に繋がるリスクがあります。
本記事では、現場でよく出るコンクリートくず・木くず・石膏ボードなどの具体例から、処理フロー・業者選定・法律のポイントまで、現場責任者や環境管理担当者が押さえるべき知識を、プロがわかりやすく解説します。

ご参考:
建設工事から生ずる廃棄物の適正処理について(通知)|環境省

建設混合廃棄物とは?基本の知識と分類を解説

建設混合廃棄物とは?基本の知識と分類を解説

建設現場では多種多様な廃棄物が発生します。それらが分別されないまま混在したものを「建設混合廃棄物」として取り扱います。分類や処理方法を誤ると処罰のリスクやコスト増加の原因にもなります。

ここでは、建設における混合廃棄物の基本的な考え方や、分類の必要性、廃棄物ごとの取り扱いの前提となる情報を整理します。

建設現場で出る混合廃棄物の具体例

混合廃棄物には、可燃性・不燃性・有害物質を含むものなどが含まれるため、分類と処理が非常に重要です。以下に代表的な建設混合廃棄物の具体例を示します。

廃棄物の種類主な発生源特徴
コンクリートがら解体工事・構造物の破砕重量があり処理に手間がかかる
木くず型枠材・足場材・内装材可燃性でリサイクル可能
石膏ボード内装仕上げ材粉塵が出やすく分別が必要
プラスチック類配管材・養生材・包装材燃焼時に有害物質の懸念
ガラスくず窓ガラス・建具割れやすく危険を伴う
金属くず鉄筋・配管・建具金物リサイクル価値が高い


建設現場では作業工程ごとに異なる廃棄物が発生するため、異種の廃棄物が混ざらないよう計画的な分別と搬出が求められます。

 

「安定型」「管理型」「特別管理型」の違いとは?

建設現場で発生する混合廃棄物は、処分方法や性質に応じて「安定型」「管理型」「特別管理型」に分類されます。この分類は廃棄物処理の適正化や法令遵守のためにとても重要で、処理コストや処理場の選定にも大きく関わります。以下に、それぞれの廃棄物区分の違いを表で整理します。

種類対象となる建設廃棄物例特徴・処理方法
安定型廃棄物コンクリートがら、ガラスくず、がれき類水分・有害物質を含まず、埋立処分が可能
管理型廃棄物木くず、紙くず、石膏ボードなど一般的な産業廃棄物。遮水・管理された埋立が必要
特別管理型廃棄物アスベスト含有材、廃油、塗料くずなど有害性が高く、特別な処理施設での対応が必要


建設混合廃棄物には、これらの適切な分類と分別が不可欠です。正しく分類し、法的リスクや処理トラブルを避けましょう。

 

建設現場で出る混合廃棄物の排出量推移

建設現場で発生する混合廃棄物の排出量は、建設業全体の動向や工事区分ごとの工事件数に大きく影響されます。

特に、解体工事や改修工事では混合廃棄物が大量に発生しやすく、排出量が多くなる傾向があります。以下に、工事区分別の混合廃棄物の排出量の傾向を表で示します。

年度工事区分混合廃棄物排出量の傾向(目安)
2018新築工事比較的少なめ。分別しやすい素材が多い
2019改修工事混合廃棄物の発生量が増加傾向
2020解体工事大量発生。石膏ボード・木くず・金属が混在
2021解体・改修併用工事の複雑化により混合率がさらに上昇
2022全体平均年間を通じて微増傾向


このように、建設混合廃棄物の排出量は年々微増しています。特に都市部では解体・改修需要の増加により、混合廃棄物の処理負担が大きくなっています。

工事区分による傾向分析や適切な対応が不可欠です。

なぜ混合廃棄物は問題視されるのか?

性質の異なる複数の廃棄物が一緒に排出されると、分別処理の手間やコストが増加するだけでなく、適正なリサイクルや再資源化の妨げになります。

さらに、混合廃棄物の中には有害物が含まれる場合もあり、分別されないまま処理すると環境負荷や法令違反のリスクも生じます。

問題点内容
分別の困難さ現場での適切な分別が行われないと、再利用やリサイクルが難しくなる
処理コストの増加混合された状態での処理は費用が高く、最終処分場の負担も大きくなる
法的リスク廃棄物処理法違反により、元請や処理業者が行政処分や罰則を受ける可能性がある
環境・地域への影響適切に処理されなかった混合廃棄物は、地下水汚染や悪臭・景観悪化などの地域問題を引き起こす


建設混合廃棄物は、適正な管理を怠れば事業リスクにも直結する点にも留意しましょう。

建設混合廃棄物の適正処理方法とフロー

建設混合廃棄物の適正処理方法とフロー

建設現場で発生する混合廃棄物は、種類や性質に応じた適正な処理が不可欠です。

この項では、建設混合廃棄物を適切に処理するための基本フローや、現場で実施すべき分別・運搬・委託のポイントについて整理していきます。

 

分別・回収・運搬の流れとポイント

建設現場で発生する混合廃棄物を適正に処理するためには、現場での分別から回収、運搬までの一連のフローを明確にし、実行することが重要です。混合廃棄物は処理工程を誤ると、法令違反やコスト増に直結します。

以下に、建設混合廃棄物の基本的な処理フローと各段階でのポイントを表で整理します。

工程主な作業内容注意点・ポイント
分別現場で可燃物、不燃物、有害物を分ける安定型・管理型・特管に応じて明確に分類する
回収廃棄物を種類ごとに仮置き・保管する表示・囲い・飛散防止など管理ルールを守る
運搬許可業者により処理施設まで搬出する委託契約書・マニフェストの記載内容と運用を徹底する


建設混合廃棄物は、作業前に分別計画を立てておくことが処理の効率化と法令遵守のカギになります。

現場ごとの実情に応じた柔軟な対応も求められるでしょう。保管場所は必要なスペースに限りがあるため、分別などに工夫を要します。

処理業者に委託する際の注意点

建設現場で発生する混合廃棄物の処理は、専門の処理業者への委託が一般的ですが、委託方法や契約内容に不備があると、元請や排出事業者が法的責任を問われる可能性があります。

特に建設混合廃棄物は多種多様な性質を持つため、信頼性と法令遵守能力のある処理業者を選定することが重要です。

以下は、処理業者に委託する際の主な確認ポイントです。

チェック項目内容
許可証の確認混合廃棄物を含む産業廃棄物の収集運搬・処分許可を保有しているか確認
処理実績の確認建設廃棄物の処理経験が豊富か、類似現場での対応履歴があるか
契約書の整備委託契約書に処理内容・責任範囲・緊急時の対応などが明記されているか
処理ルートの透明性最終処分場・中間処理施設の情報が明確で、追跡可能な処理体制が整っているか
不適正処理のリスク過去に行政処分を受けた履歴がないか、コンプライアンス意識が高いかを調査


建設混合廃棄物を適切に委託処理するためには、価格だけでなく法令順守・処理品質・情報公開体制など、多面的な視点から業者を選ぶ必要があります。

関連記事:混合廃棄物の処分費はいくら?相場・料金表・処理のポイントを徹底解説

マニフェスト制度の使い方と違反時のリスク

建設現場で発生する混合廃棄物を適正に処理するためには、マニフェスト制度(産業廃棄物管理票)の活用が不可欠です。

この制度は、建設混合廃棄物の排出から最終処分までの流れを可視化・記録し、排出事業者が処理責任を果たすための仕組みです。処理委託時には紙または電子マニフェストを発行し、処理業者や運搬業者と処理などに関する情報を共有・管理します。

マニフェストの目的内容
処理経路の明確化建設混合廃棄物の運搬・処分ルートを確認可能にする
不適正処理の抑止記録を残すことで不正な投棄や無許可処理を防止
排出事業者の責任明確化処理が完了したかを確認することで責任を果たせるようにする


マニフェスト未提出・虚偽記載・保存義務違反も厳しく取り締まられます。建設混合廃棄物を取り扱う際は、正確かつ期限内での運用が求められます。

建設混合廃棄物に関する法律と責任範囲【罰則は?】

建設混合廃棄物に関する法律と責任範囲【罰則は?】

建設現場で発生する混合廃棄物には、廃棄物処理法や建設リサイクル法など複数の法律が関わり、それぞれに明確な処理責任や罰則が定められています。

たとえば前出のマニフェスト制度に違反すると、排出事業者・建設業者ともに行政指導や罰則の対象となり、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることもあります。

元請・下請・処理業者それぞれの立場で守るべき法的義務や注意点を把握しておくことが、トラブルや違反を未然に防ぐ鍵となるでしょう。

 

廃棄物処理法と建設リサイクル法の基礎知識

建設混合廃棄物の処理に関わる主要な法律として、「廃棄物処理法」「建設リサイクル法」があります。

これらは建設現場から排出される混合廃棄物の適正処理や再資源化を目的としており、排出事業者・元請業者・処理業者の義務を明確に定めています。

法律名内容
廃棄物処理法建設現場で発生した混合廃棄物を「産業廃棄物」として扱い、分別・運搬・処理の責任を規定する法律
建設リサイクル法特定建設資材(コンクリート・アスファルト・木材など)の分別解体と再資源化を義務づける法律


廃棄物処理法では、混合廃棄物の適正処理、マニフェスト管理、処理業者への正規委託が義務とされ、違反時には罰則の対象になります。一方、建設リサイクル法では、一定規模以上の建設工事において、分別解体計画書の作成・提出や再資源化の実施が求められます。

建設混合廃棄物の排出に際しては、これらの法律の両方を理解し、現場ごとの対応を確実に行うことが法令順守の基本です。

元請・下請・処理業者の責任範囲

建設混合廃棄物の適正処分においては、建設の元請業者と下請業者、廃棄物処理業者それぞれに、明確な責任が課せられています。

廃棄物処理法では、混合廃棄物の排出者責任を原則としつつも、建設業特有の委託関係に応じた役割分担が必要です。

各立場の責任範囲を明確に理解しておかないと、違法処分や処罰の対象となるおそれがあります。

立場主な責任と義務内容
元請業者全体の工事管理と廃棄物処分の最終責任。委託先管理やマニフェスト記載内容の確認も必要
下請業者実際の混合廃棄物排出作業を担う。元請の指示のもと適正な分別・保管・搬出を実施する責任あり
処理業者建設混合廃棄物を収集・運搬・中間処理・最終処分する役割。許可取得や処理基準順守が求められる


元請・下請・処理業者がそれぞれの責任範囲を怠ると、廃棄物の不法投棄・不適正処分・虚偽報告などの違反行為が発生し、行政処分や刑事罰の対象となる可能性があります。

行政指導や罰則の事例と対策

建設現場から発生する混合廃棄物に関しては、適正な処分を怠ると行政指導や処罰の対象となります。近年では、不適正処分やマニフェストの不備に対する行政処分が増加傾向にあり、元請・下請・処理業者のいずれにも厳しい対応が求められています。

以下に、実際の行政処分事例と注意すべき対策をまとめます。

事例内容
不法投棄による行政処分建設現場からの混合廃棄物を山林などに無断投棄し、都道府県より排出者に厳重指導と再処分命令
無許可業者への委託処分許可を持たない業者に混合廃棄物を委託し、排出元の元請業者に対して勧告と罰金処分
マニフェスト未提出・虚偽記載マニフェスト記録の未提出や処理完了報告の虚偽記載により、下請・元請ともに警告および業務改善命令を受けた


違反が発覚した場合、前述の6か月以下の懲役または50万円以下の罰金といった法的処罰だけでなく、社会的信用の低下、行政からの入札停止といった二次的リスクも発生します。

まとめ

建設混合廃棄物とは?種類・処理方法・法律までプロがわかりやすく解説のまとめ

建設混合廃棄物は、現場で多く発生する複雑な廃棄物であり、分類・処理・委託のすべてに法令順守と実務的な知識が求められます。元請・下請・処理業者それぞれの責任やマニフェスト制度の運用も含め、正しい理解と対応が重要です。

本記事が、建設現場での混合廃棄物管理の実務と法律の理解に役立てば幸いです。

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