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オフィスを移転するときに必要な公的手続き

オフィス移転にともない企業の所在地が変わったら、さまざまな公的機関での手続きが必要になります。手続きの中には、移転後速やかに済ませないと罰則を課されるものもあるため、注意しなければいけません。漏れなく手続きができるよう、移転前にそれぞれの提出時期や内容をしっかりと把握しておきましょう。
なお、オフィスを県外に移転する場合は、地域ごとにルールが異なる可能性があるため、移転先の自治体にあらかじめ必要書類などを確認しておくと安心です。ここでは、オフィス移転をするときに必要な公的手続きについて紹介します。
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目次
オフィス移転をする前に必要な続き

オフィス移転前には、法律や規制に基づいて必ず行うべき公的手続きがあります。代表的なものは、電話回線の移設、郵便物の転送届、車庫証明の変更といったインフラ関連の手続きです。
さらに、顧客や取引先に混乱を与えないよう、公式WebサイトやSNSでの移転予告も欠かせません。これらを怠ると、通信が止まったり郵便物が届かなくなったりするだけでなく、事業機会の損失や信用低下につながるリスクがあります。
以下では、それぞれの手続きを時系列で整理し、注意点を解説します。移転の直前ではなく、余裕を持って準備を進めることが円滑な移転の第一歩です。
電話回線申し込み
利用する電話会社もしくは通信会社に連絡をし、電話回線の移設手続きを行います。現在使用している回線の停止日時と、移転先で回線を使いはじめる日時を忘れずに伝えましょう。
郵便物届出変更届
旧オフィスを管轄する郵便局に住所変更届(郵便物届出変更届)を申請します。この手続きを行うと、旧オフィス宛に投函された郵便物が、新オフィスに届くようになります。転送期限は1年間ですので、再度転居届を提出して1回更新して2年程度は継続するのが良いでしょう。
車庫証明
新オフィスで駐車場を利用する場合は、新オフィスを管轄する警察署に自動車保管場所証明申請書を提出します。
公式Webサイトの予告
新オフィス移転の予定は、お客様の不便や迷惑を避けるため、遅くとも3週間前にはWebサイトやSNSに、告知を出しましょう。業種にもよりますが、直接ユーザーの訪れるオフィスであれば、1か月以上前には告知が必要です。
オフィス移転をした当日に必要な公的手続き

オフィス移転当日には、労働基準監督署・消防署・税務署などに提出すべき公的書類があり、これらを怠ると労務管理や防火体制に不備が生じ、法令違反に問われるリスクがあります。具体的には「労働保険名称・所在地等変更届」「適用事業報告」「安全管理者選任報告」「防火管理者選任届」などが代表的です。
以下では、当日に優先して行うべき手続きを分野別に整理し、提出先や注意点をまとめます。移転作業と同時進行になるため、あらかじめ担当者やスケジュールを決めておくことがスムーズな移転のカギです。
労働保険名称・所在地等変更届
労働者を雇用する事業所において、事業所の名称や住所が変更になった場合に申請が必要となる書類です。所轄の労働基準監督署に提出します。
労働基準法に関するもの。適用事業報告
労働基準法の適用を受ける事業所(労働者を雇用する全ての事業所)において、住所の変更があった際に申請する書類です。所轄の労働基準監督署で手続きします。
安全衛生法に関するもの。安全管理者選任報告
労働安全衛生法に規定される安全管理者を選定し、新オフィスを管轄する労働基準監督署に申請します。その際、安全管理者の資格適用者であることを証明する修了証の写しなどの提出も求められます。
防火管理者選任届
消防法に規定される防火管理者を選定し、防火管理者責任届を新オフィスを管轄する消防署に申請します。
事業年度、納税地、その他の変更異動届出書、本店移転登記申請書
事業所の住所などが変更になった場合に申請が必要となる書類です。新オフィスを管轄する税務署長に申請します。
公式Webサイトの書き換え
新オフィスの住所、アクセス方法などは、移転日をもってWebサイトやSNSの情報を書き換えます。
また、Webサイトのドメイン・サーバの所有者情報、ドメインのWho is情報(ドメイン所有者の公式記録)も書き換えを行う必要があります。
ネット上のメディアや加盟している業界団体などのコンテンツで、自社の紹介がされているのが分かっている場合は、住所変更の依頼を出すようにしてください。
オフィス移転をした後1~10日までに必要な公的手続き

オフィス移転後は「5日以内」「10日以内」など期限が決められた公的手続きがあり、提出を怠ると行政からの指導やペナルティの対象になる可能性があります。
具体的には、社会保険関連では「適用事業所所在地・名称変更(訂正)届」を年金事務所に提出し、雇用保険関連では「事業主事業所各種変更届」をハローワークに10日以内に届け出る必要があります。
さらに、税務関連では「事業開始等申告書」の提出も求められます。
適用事業所所在地・名称変更(訂正)届(移転後5日以内)
社会保険の適用事業所において、事業所の名称や住所が変更になった場合に申請が必要になる書類です。変更後の住所・名称を証明できる書類を持参し、新オフィスを管轄する社会保険事務所で手続きします。
雇用保険事業主事業所各種変更届(移転後10日以内)
(雇用保険に関する)「事業主事業所各種変更届」は、事業所の所在地・名称が変更になった際に、所轄の公共職業安定所(ハローワーク)に10日以内に提出が必要です。
また、社会保険に関しては「適用事業所所在地・名称変更(訂正)届」を、年金事務所または協会けんぽに提出します。
書類名が似ているため、提出先と手続きの目的を混同しないよう注意しましょう。事業所の住所や名称が変更になった場合に申請が必要になる書類です。新オフィスを管轄する公共職業安定所で手続きします。
事業開始等申告書
事業所の住所などが変更になった場合に申請が必要となる書類です。移転前、後の税務事務所に申請します。
事業主事業所各種変更届
事業所の住所などが変更になった場合に申請が必要となる書類です。新オフィスの事務所適用係に提出します。
オフィス移転をした後2週間~1カ月以内に必要な公的手続き

オフィス移転後2週間~1カ月以内には、登記や税務などの重要な手続きが必要です。代表的なのは「本店・支店の移転登記」「給与支払事業所の異動届」などで、期限を守らないと過料や信用低下につながります。
オフィスを購入した場合は「土地・建物の所有権移転登記」も忘れずに行いましょう。
以下で、期限ごとに必要な手続きを整理します。
本店移転登記申請書(移転後2週間以内) 、支店移転登記申請書(移転後3週間以内)
本店または支店の住所が変更になった場合、新オフィスを管轄する法務局で変更内容の登記を行います。県外に移転する場合は、必要書類や費用、期限が異なる可能性があるため、あらかじめ管轄の法務局で内容を確認しておきましょう。
この本店移転登記は大切です。会社の移転後に登記を行わず放置してしまうと、会社移転登記の放置を登記懈怠(とうきけたい)とみなされといって、裁判所からペナルティを科される可能性があります。あるほか、また、社会的信用にも関わり、登記を怠ると悪影響が発生するでしょう。
たとえば各企業が取引先を開拓する際、登記事項証明書を調査するケースが多いため、現住所と登記上の住所が違っていると信頼性を疑われるリスクがあります。ことも。
金融機関も融資の際に登記事項証明書を確認するため、登記を怠っていると「ずさんな経営」と判断されて資金調達が難しくなります。
また、助成金や補助金の申請時にも登記情報はチェックされます。
このほかさらに、会社移転登記を怠ると、代表者個人に対して100万円以下の過料を科せられる可能性があります。
登記情報の変更は会社法第915条第1項に定められています。会社を移転したときは、その本店の所在地を管轄する法務局へ2週間以内に会社移転登記を申請しなければなりません。
給与支払事業所等の開設・移転・廃止届出書(移転後1カ月以内)
労働者に給与を支払う事業所において、事業所の住所が変更になった場合に申請が必要になる書類です。移転により管轄が変わる場合は、新、旧の税務署に届け出を行います。
ほかに「労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書・労働保険関係成立届」の提出も必要になります。オフィス移転にともない必要な公的手続きは移転する地域などによって異なるので、よく確認するようにしてください。
土地・建物の所有権移転登記
オフィスを新たに購入した場合、通常の売買であれば登記は物件の引き渡し・残金決済と同時履行となるので心配はありませんが、親族間売買や相続などで急を要しない場合も、登記をしないで放置することはリスクがあります。
登記をしないと、乗っ取りなどで第三者に所有権を対抗できないほか、相続登記は義務化されているため、3年を経過すると不動産登記法に基づき、10万円以下の過料が科されることがあります。
まとめ

オフィス移転では、旧オフィスの明け渡しおよび新オフィスの賃貸契約にともなう手続きのほかにも、上記で紹介したような公的手続きが必要になります。通常の業務に支障を来さないよう、移転前に手続きの内容や必要書類、提出時期を確認しておきましょう。
株式会社エコ・エイトでは、オフィス移転に伴う不用品の回収・処分・買取のワンストップサービスを提供しています。また退去後の原状回復工事や解体工事も行っており、オフィス移転のさまざまな場面でのお手伝いが可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
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また、東京都をはじめ1都9県での産業廃棄物収集運搬の許可があり、旧オフィスだけでなく、新オフィスでも廃棄物処理のご提案が可能です。
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