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産業廃棄物保管場所の看板の法定サイズ・必須項目を解説!行政指導を回避する方法
産業廃棄物を保管する事業場では、保管場所に設置する看板の表示内容やサイズが、廃棄物処理法で細かく定められています。
しかし、「とりあえず看板は出している」という状態のまま、法定要件を正しく満たしていないケースは少なくありません。
産業廃棄物処理法は厳格であり、掲示義務を怠ると罰則(懲役・罰金)が科せられるリスクがあります。
本記事では行政の立ち入り検査で指摘を受けないための「正しい看板」の全要件を解説します。
法定サイズや必須の「5つの記載項目」はもちろん、一般と特別管理の違い、屋外設置に必要な「囲い」の規定までお伝えします。
目次
産業廃棄物保管場所に必要な看板とは?

産業廃棄物保管場所には、法律に基づき「産業廃棄物保管場所」である旨を示す看板の設置が義務付けられています。この看板は単なる注意喚起ではなく、廃棄物処理法第12条の2および施行規則第8条により、排出事業者が負うべき明確な義務です。
行政指導を回避するためには、この産業廃棄物保管場所の看板が、後述する法定サイズと必須の記載項目(氏名、種類など5項目)を全て満たしていることが条件となります。
行政指導を回避する「正しい看板」のチェックポイント

行政指導の対象となる産業廃棄物保管場所の看板の不備は、そのほとんどが「法定サイズ」「必須記載項目」「廃棄物の種類」の3点に集約されます。
次に、排出者の氏名や産業廃棄物の種類など、法律で定められた5つの必須記載項目が漏れなく記載されていなければなりません。
また、特別管理産業廃棄物を保管する場合は、その旨が明確に分かるよう、一般産業廃棄物とは異なる表示の看板とする必要があります。
チェックポイント1:法定サイズは「60cm角以上」を満たしているか?
産業廃棄物保管場所の看板に関する行政指導で最も多い指摘の一つが、この「法定サイズ」に関する不備です。
廃棄物処理法施行規則第八条の四において、産業廃棄物保管場所を示す看板の大きさは、縦、横それぞれ60cm以上の正方形または長方形であることが必須です。よって、これより小さい看板は法令違反となります。
目的は、周辺住民や行政機関、緊急時の関係者が、その場所が産業廃棄物保管場所であることを明確に示すことです。
あわせて、記載内容を明瞭に確認できるようにする必要があります。特に、広大な敷地や交通量の多い道路に面した場所に設置する場合、看板のサイズは視認性に直結します。
この規定は、一般の産業廃棄物保管場所も、特別管理産業廃棄物保管場所も共通です。
【注意】
記載スペースを確保するため、看板を60cm四方ギリギリではなく、より大きいサイズで製作することは問題ありません。
また、看板の設置場所によっては、見やすい位置・高さであるかも重要になります。
法定サイズを満たしていても、草木に隠れていたり、低すぎる位置にあると、実質的に表示義務を果たしていないと見なされる可能性があるため注意が必要です。
チェックポイント2:必須記載項目「5つの情報」は全て記載されているか?
産業廃棄物保管場所の看板が法定サイズを満たしていても、記載内容に不備があれば法令違反となります。
行政指導を確実に回避するために、看板には以下の5つの必須記載項目が全て記載されているかを確認してください。
これは、廃棄物処理法施行規則第八条の四で定められた、産業廃棄物保管場所の管理責任と内容を明確にするためのルールです。
| No. | 必須記載項目 | 記載内容のポイント |
|---|---|---|
| 1 | 保管場所の管理者の氏名又は名称(連絡先を含む) | 排出事業者(法人名)または個人の氏名を正確に記載。 |
| 2 | 保管する産業廃棄物の種類 | 具体的な品目名(例:廃プラスチック類、金属くずなど)を正確に記載。混合している場合は全て記載。 |
| 3 | 保管場所の管理者の氏名 | 保管責任を負う個人の氏名。緊急連絡先としての機能もある。 |
| 4 | 最大保管高(屋外の場合) | 積み上げられる最大の高さをメートル(m)単位で具体的に記載。 |
| 5 | 屋外の場合の囲いの設置 | 「屋外において囲いが設けられている」旨を明記。 |
| (特例) | 積替え保管を行う場合 | その旨と、積替え前の搬入量の上限、保管期間を追記。 |
特に重要なのは、産業廃棄物の種類を「すべて」具体的に記載することです。「産業廃棄物」と一括りにするだけでは不十分です。
また、屋外に産業廃棄物保管場所を設ける場合は、「最大保管高」と「囲い設置の有無」の記載が必須となります。
これらの情報が欠けている看板を使用している場合、現場の管理状況が不明確と見なされ、行政指導の対象となり得ます。看板作成時には、テンプレートを利用する場合でも上記の5項目(積替え保管の特例を含む)が正しく反映されているか確認してください。
チェックポイント3:特別管理産業廃棄物と一般廃棄物で表示は適切か?
産業廃棄物保管場所の看板を設置する際、最も慎重にならなければならないのが、「一般の産業廃棄物」と「特別管理産業廃棄物」を区別した表示です。
これらは危険性が大きく異なるため、看板の記載方法も法律で厳しく分けられています。
もし、貴社の産業廃棄物保管場所が、廃油、廃酸、感染性廃棄物などの「特別管理産業廃棄物」を保管している場合は、加えてその旨を明確に示す表示が必要です。
具体的には、看板のタイトル部分に「特別管理産業廃棄物保管場所」と明記しなければなりません。単に「産業廃棄物保管場所」とのみ記載した場合、法令違反、行政処分の対象となります。
| 廃棄物の種類 | 記載すべき名称 | 看板の特記事項 |
|---|---|---|
| 一般産業廃棄物 | 産業廃棄物保管場所 | 法定5項目を記載 |
| 特別管理産業廃棄物 | 特別管理産業廃棄物保管場所 | 「特別管理」を必ず明記し、法定5項目を記載。 |
また、一つの産業廃棄物保管場所で両方を保管する場合は、それぞれの区画を明確に分ける必要があります。そのうえで、二種類の看板を設置するか、特別管理産業廃棄物の表示を優先した看板としてください。
特別管理産業廃棄物の場合、その危険性から、周囲への周知徹底が重要視されます。
看板の色やデザインに法的な規定はありませんが、特別管理産業廃棄物の場合は、赤や黄など注意喚起力の高い色を使うことで、その危険性を訴えかけることが推奨されます。
法令遵守を確実にする!産業廃棄物保管場所看板の「法定規格」詳細

産業廃棄物保管場所に設置する看板の「正しい」基準は、廃棄物処理法の具体的な条文に基づいています。この法定規格を正確に理解することは、行政指導を回避するだけでなく、厳しい罰則を避ける上で極めて重要です。
この項から、看板設置の根拠法や罰則、そして特に屋外の保管場所で求められる「囲い」・ 飛散防止などの付帯要件について解説します。
掲示義務の根拠法と、怠った場合の「厳しい罰則」
産業廃棄物保管場所への看板の掲示義務は、廃棄物処理法(正式名称:廃棄物の処理及び清掃に関する法律)によって明確に定められています。具体的には、廃棄物処理法第12条第2項および施行規則第8条の四が、排出事業者が産業廃棄物保管場所に表示を義務付けられる根拠です。
産業廃棄物保管場所の看板不備に関連する主な罰則は、以下の通りです。
| 違反の種類 | 法的措置 | 罰則の例 |
|---|---|---|
| 改善命令違反 | 廃棄物処理法第25条 | 5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金 |
| 法定表示義務違反(軽微な不備でも) | 廃棄物処理法第29条 | 30万円以下の罰金 |
特に、改善命令が出されたにもかかわらず、指定された期限までに看板の不備を解消しなかった場合、法人に対しては3億円以下の罰金が科される可能性があります。
これは、企業の信頼と存続に関わる重大なリスクとなります。
屋外設置で絶対に必要な「囲い」と「その他の対策」
屋外の産業廃棄物保管場所を管理する場合、単に看板を設置するだけでなく、保管場所そのものに対して法律で義務付けられた付帯設備が必要です。特に重要なのが「囲い」の設置義務です。
廃棄物処理法施行規則に基づき、屋外で産業廃棄物を保管する際には、廃棄物が飛散、流出、地下浸透、悪臭発散を防ぐための措置を講じる必要があります。
- 囲いの設置義務:
屋外の産業廃棄物保管場所では、廃棄物が飛散・流出しないよう、囲いの設置など法令で定められた保管場所の構造基準を満たす必要があります。
基準は廃棄物の種類や保管方法(容器の有無、荷重の直接加わり方など)に応じて細かく異なります。 - 最大保管高の表示:
囲いの高さと併せて、産業廃棄物保管場所の看板には、前述の通り「最大保管高」をメートル単位で明記しなければなりません。
この最大保管高は、設置した囲いの高さを超えないことが前提となります。
また、囲いの他に講じるべき「その他の対策」には、以下のようなものがあります。
| 罰則の例 | 目的と具体例 | 備考 |
|---|---|---|
| 底面 | 地下浸透の防止 | コンクリート舗装、不浸透性シートの敷設 |
| 水抜き溝/集水槽 | 汚水の流出防止 | 雨水や汚水を公共水域に流さないための設備 |
| シート養生 | 飛散・悪臭の防止 | 必要に応じて、保管中の廃棄物へのシート掛け |
これらの対策はすべて、産業廃棄物保管場所の看板に記載が義務付けられている「屋外の場合の囲いの設置」という項目と関わっています。
看板に「囲いがある」と記載するだけでは十分ではありません。実際にその囲いやその他の対策が法令の求める基準を満たしているかを定期的に確認し、維持管理を行うことが、行政指導を避けるために不可欠です。
【Q&A】よくある間違いとは:
産業廃棄物保管場所の看板設置に関する義務はシンプルに見えますが、現場では誤った解釈や見落としによる不備が多発しています。
ここでは、行政指導の際によく指摘される、産業廃棄物保管場所の看板に関する間違いとその正しい対応をQ&A形式で解説します。
| Q. | よくある間違い | 正しい対応と解説 |
|---|---|---|
| Q1 | 60cm×30cmの看板を使っている。 | A. サイズ違反です。 縦横それぞれ60cm以上が法定サイズです。視認性確保のため、小さな看板は認められません。 |
| Q2 | 記載項目に「産業廃棄物等」と書いてしまった。 | A. 具体性に欠けます。 「等」は使用せず、「廃プラスチック類」「金属くず」など、保管する産業廃棄物の種類を全て正確に列記する必要があります。 |
| Q3 | 管理者が不在の日は氏名を記載しなくてよいか。 | A. 管理者の氏名は必須です。 看板に記載する管理者は、保管場所の責任者として常に明確である必要があり、不在時でも変更する必要はありません。氏名または名称は固定です。 |
| Q4 | 屋内保管なので「最大保管高」の記載は不要。 | A. その通りです。 最大保管高の記載は「屋外に産業廃棄物保管場所を設ける場合」のみ義務付けられています。屋内であれば記載は不要です。ただし、特別管理産業廃棄物は屋内でも最大保管高の記載を求められる自治体もあります。 |
| Q5 | 積替え保管を始めたが、看板を更新していない。 | A. 法令違反です。 積替え保管を行う場合、通常の5項目に加え、「積替え保管を行う場所である旨」「積替え前の搬入量の上限」「保管できる期間」を追記しなければなりません。速やかに看板を更新してください。 |
失敗しない!法定要件を満たす看板の「選び方と入手方法」

産業廃棄物保管場所の看板が法的な要件を満たしていることを確認したら、次は耐久性があり、現場環境に合った看板を導入しましょう。
特に屋外では、紫外線や雨風に耐えうる材質を選ばないと、すぐに劣化し表示内容が見えなくなってしまいます。
この項では、法令要件を確実にクリアしつつ、コスト効率も考慮した看板の最適な材質(アルミ複合板、PVCなど)の選び方を解説します。あわせて、オーダーから納品までのスムーズな入手方法も紹介します。
設置環境別:最適な看板の材質と耐久性(アルミ複合板・PVC・スチール)
産業廃棄物保管場所の看板は、法令要件を満たすだけでなく、掲示内容が長期にわたり明瞭に視認できる耐久性が求められます。設置環境に応じて最適な材質を選びましょう。
主に産業廃棄物保管場所の看板に用いられる材質と、その特性は以下の通りです。
| 材質 | 特徴とメリット | 最適な設置環境 | 耐久性(目安) |
|---|---|---|---|
| アルミ複合板 | 軽量で強度が高く、耐候性に優れる。最も汎用的で価格と耐久性のバランスが良い。 | 屋外(標準)、屋内全般 | 5~7年程度 |
| 硬質塩化ビニル板(PVC) | 耐水性・耐薬品性に優れる。安価だが、アルミ複合板よりはやや耐久性が劣る。 | 屋外(短期~中期)、屋内 | 3~5年程度 |
| スチール(鉄板) | 非常に強度が高く、マグネット対応も可能。重量があり、サビ対策が必要。 | 風が強い場所、恒久的な設置場所 | 5~10年程度 |
屋外の産業廃棄物保管場所に設置する場合、アルミ複合板が最も推奨されます。これは、紫外線や風雨による変色・劣化に強く、かつ比較的軽量で設置しやすいからです。
行政指導を回避するためには、看板の印字面が色褪せたり剥がれたりしにくいUVカット加工を施した出力材の製品を選ぶことが重要です。
また、屋内で産業廃棄物を保管する場合でも、湿気や薬剤の影響を受けることがあるため、耐水性の高いPVCやアルミ複合板が適しています。
材質選びを誤ると、数年で看板交換が必要になり、結果的にコストが増すことになるため、環境を考慮した選択が求められます。
オーダーから納品までの流れと、コストを抑える方法
法定要件を満たす産業廃棄物保管場所の看板を確実に入手するためには、専門業者に依頼するのが最も安全で確実です。
オーダーから設置までの流れを理解し、無駄なコストを抑えるためのポイントを押さえましょう。
1. オーダーから納品までの流れ
産業廃棄物保管場所の看板の注文は、通常以下のステップで進められます。
- 必要事項の確認と決定:
- 記載事項(氏名、種類、管理者、最大保管高など)を確定させる。
- 法定サイズや設置環境に応じた材質(アルミ複合板推奨)を選ぶ。
- デザインの依頼と確認:
- 業者から提供される法令準拠のテンプレートを選択し、記載内容をカスタマイズ依頼。
- デザイン校正(仕上がりイメージ)を必ず確認し、誤字脱字や法的な漏れがないかチェックする。
- 製作と納品:
- 注文確定後、製作を開始。納期は業者や材質によって異なりますが、通常3~10営業日程度。
2. コストを抑える方法
産業廃棄物保管場所の看板の導入コストを抑えるには、以下の点に注目してください。
- テンプレートの活用:
業者が提供する、法定の記載項目をレイアウト済みの看板テンプレートを利用することで、デザイン費を大幅に削減できます。フルオーダーのデザインは割高になります。 - 材質の選択:
高い耐久性が必要ない場合や、屋内設置の場合は、価格の安いPVCや標準的なアルミ複合板を選ぶことで初期費用を抑えられます。 - まとめ買いの検討:
複数の産業廃棄物保管場所を持つ事業者は、まとめて発注することで割引が適用されるケースがあります。特別管理産業廃棄物用など、種類が異なる場合でも同時発注を検討しましょう。 - データ入稿:
既に看板のデザインデータを持っている場合は、データ入稿に対応している業者を選ぶと、さらにコスト削減が可能です。
まとめ:正しい看板設置で企業のコンプライアンスを徹底しよう

本記事では、産業廃棄物保管場所の看板設置に関して、行政指導を確実に回避するための法定サイズや、必須の5項目といった具体的な要件を詳しく解説しました。
現場で「誰が見ても正しい」看板を設置することは、廃棄物管理担当者としての責務です。貴社の産業廃棄物保管場所の看板が、法的な要件を満たしているかチェックしてください。適切な看板の導入は、貴社の企業リスクを最小限に抑えるための一歩となります。
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